第5章 バド・パウエル物語

 今回は、めっちゃんが今までに最も感銘を受けたジャズピアニストである、バド・パウエルについてです。超有名なのですが、多くの人はジャズと聞いただけで鳥肌が立つようです。そんな食わず嫌いな人にこそ、ジャズの良さをわかってもらいたくて、めっちゃんなりに、わかりやすく解説してみることにしました。

 バド・パウエルは、超有名な偉人です。なぜ偉人かといいますと、モダンジャズピアノのスタイルを確立させた人だからです。ジャズピアノ史上、これほどまでにも、たった1人の人間で、ジャズピアノの歴史の流れに大きな影響を及ぼした人は、他にいないでしょう。今は当たり前の、ピアノ・ベース・ドラムスのピアノトリオ編成の演奏も、バド・パウエルが築き上げたと言われていますし、バド・パウエル以降のピアニストたちは、みんなバド・パウエルに憧れ、バド・パウエルの奏法を学んだのです。他のピアニストの演奏をたくさん聴きこんだ後でバド・パウエルを聴くと、あー!みんなこの演奏が元になってたんだななんていう感じがするんです。バド・パウエルの演奏には、現代のジャズピアノの奏法、アドリブからはじまって、リズム、スィング、間の取り方など、だいじなエッセンスが全て盛り込まれているといっても過言ではありません。そして、ただ現代のジャズピアノのスタイルを築き上げたばかりでなく、その高い芸術性とすぐれた技巧は、まぎれもなく他の追随を許さない傑出したNo.1ピアニストでもあったのです。

 バド・パウエルの生涯は痛々しさに満ちたものでした。持病の精神病で入退院を繰り返しながら演奏活動を続けたのは、あまりにも有名な話です。アメリカでは不当な人種差別に合い、ついに故郷に見切りをつけてパリに移住するのですが、それでもニューヨークへの想いがつのり、5年後帰郷するもその2年後に亡くなるのです。とてもドラマティックな生涯を送ったバド・パウエルの演奏は、初期と後期では全く別人ではないかと思えるほど違います。また、同じ時期の演奏でも、体調の波によって微妙に変わるのが、バド・パウエルのピアノの聴きどころだったりするのです。

 さて、それでは数多くあるバド・パウエルの曲の中から、ぜひとも皆さんに聴いていただきたい、バド・パウエルらしさが盛り込まれた2曲を紹介することにいたしましょう。ちなみにこの2つのMIDI DATAは、めっちゃんがCDを聴いて解読したものではなく、輸入物のコピー譜をただ打ち込んで作った物なのであしからず。バドパウエルの早いアドリブを聴き取るのは、めっちゃんには不可能に近いっす^^

MIDI
corner


この曲は、Jazz Giantのラスト、13曲目に収録されています。めっちゃん1押しの曲です。どちらかと言うとバドパウエルらしくない部類に入る演奏ですけど、とにかく、この1曲の中に現代のジャズのいろいろな要素が盛り込まれている、とても深い演奏だと思います。この曲はスタンダード曲なので、いろいろな人が演奏してますよね。普通はゆったりめの演奏が多いですけど、最盛期のバドパウエルのこの演奏は、まさにそのバドパウエルの肉体と精神すべてがこの1曲にこめられている感じがします^^ 若き情熱で、とにかくたった1曲のこの演奏に、欲張って全ての技法を詰め込んだような感じで、聴いている方は圧倒されてしまうのです。


この曲は、JazzGiantの5曲目に収録されているものです。バド・パウエルと言ったら、息を飲むようなスピード感溢れる、シングルトーンによるアドリブが魅力の1つですが、この曲のアドリブは、まさにその魅力がよく出ていると思います。ビデオでバドパウエルの演奏を見ましたけど、あまり手指とか動かさないんですよね。それでよくこれだけのスピードが!他のピアニストの演奏だと普通、素早いアドリブも、途切れるところがあるはずなのに、バドパウエルのアドリブは、この曲のようにhighな部分がhighのまままま延々と続いて、息をしている暇もない感じなのですよね^^ まあ、心臓の悪い人とかは聴かない方がいいかもね^^



 バドパウエルの略歴と、年代別に分けた主なCDをまとめてみました。やはり、47〜51年にかけての初期のアルバムは、研ぎ澄まされた天才的な感性が満ち溢れたような演奏で、技術的にもすばらしく、最盛期なのでしょうね。名盤がそろっています。MIDI DATAをあげた2曲が入っている「JAZZ GIANT」は、特に本や雑誌で取り上げられることが多いようですね。長期入院から復帰した53年以降は、徐々に演奏がにぶっていったと言われているのですけど、落ち着いた、安定した演奏が多くなったという見方もできるのではないでしょうか。めっちゃんはこの時期の「STRICTLY POWELL」、「SWINGIN'WITH BUD」などのアルバムが好きなんですよ。そしてパリへ移住してから、新しいミュージシャンたちとの競演も聴きどころですね。
バド・パウエルの略歴 主なバド・パウエルのCD
1924年9月27日、ニューヨークで生まれました

  ハイスクール中退。兄のバンドに参加し、
  グリニッジ・ヴィレッジやミントンズ・プレイ・ハウスなどで演奏。

1943年クーティ・ウィリアムスのバンドに参加

1945年頃から、持病の精神病で、入退院を繰り返すようになります。

1947年自己のトリオを結成
  病魔に悩まされながらも、数々の傑作を世に出します。

  47〜49年が、ピアニストとして最も充実していた時期とされています。
  49〜51年にかけて、「アメージング・バド」など、
  blue note levelを中心に、多くの傑作を収録します。



1951年8月〜53年2月までは長期にわたる入院を余儀なくされました。
  このときに電気ショック療法を受けたために、その後の演奏に
  覇気がなくなったとも言われています。


1956年から、バドパウエルはヨーロッパに演奏旅行に出かけるように
  なります。当時ヨーロッパではジャズミュージシャンが芸術家として
  高い評価を受けていました。そんな暖かなもてなしが、
  衰退の一途をたどっていたバドパウエルの精神に一抹の光を
  与えます。この時期の演奏は、一般的には魂の抜けた空虚な
  演奏で、時々きらめきをみせるなんて評価されています。

1959年ついにアメリカを離れ、パリに移住します。
  精神の衰弱も極度に達し、さらに麻薬保持で逮捕されたり、
  不当な人種差別にあったりで、アメリカの生活に見切りをつけた
  バド・パウエルは、妻のバターカップと息子のジョンを連れて、
  パリに永住することにするのです。




1964年アメリカに帰郷
  5年間の安定したパリでの生活の中でも、バド・パウエルはどうしても
  郷愁の念が出てきてはいたようです。「ニューヨークの秋」を演奏
  する頻度がだんだんに多くなっていったのがその現れだと。
  そしてついに、パリでの生活に終止符をうち帰郷します。

1966年7月31日死去










最盛期の演奏が聴けるアルバム
SONNY STITT/BUD POWELL/J.J.JOHNSON 1949/50
jazz giant 1949/50
the genius of bud powell 1950/51
the amazing bud powell vol.1 1949/51
the amazing bud powell vol.2 1951/53
The Bud Powell Trio Plays 1947/53

長期治療を受けて退院した後の演奏が聴けるアルバム
THE BUD POWELL TRIO "birdland'53"vol.1
THE BUD POWELL TRIO "birdland'53"vol.2
jazz at massey hall 1953

波乱に満ちた50年代後期の演奏が聴けるアルバム
STRICTLY POWELL 1956
BUD POWELL SWINGIN'WITH BUD 1957.11.2
Bud Plays Bird 1957/58
the scene changes 1958


パリ移住後の円熟した演奏の聴けるアルバム
Bud In Paris 1959/60
a portrait of thelonious 1961.12.17
STRICTLY CONFIDENTIAL 1963/64
OUR MAN IN PARIS(DEXTER GORDON) 1963.5.23
BUD POWELL IN PARIS 1964
HOT HOUSE BUD POWELL 1964.8
BLUES FOR BOUFFMONT 1964.7/8

アメリカ帰郷後のアルバム
the return of BUD POWELL 1964.9



 それでは最後に、めっちゃんの特に好きなアルバムをあげておきますね。参考にしてください。

JAZZ GIANT
1.TEMPUS FUGUE-IT
2.CELIA
3.CHEROKEE
4.I'LL KEEP LOVING YOU
5.STRICTLY CONFIDENTIAL
6.ALL GOD'S CHILLUN GOT RHYTHM
7.SO SORRY PLEASE
8.GET HAPPY
9.SOMETIMES I'M HAPPY
10.SWEET GEORGIA BROWN
11.YESTERDAYS
12.APRIL IN PARIS
13.BODY AND SOUL
@〜E49年3月録音Bud Powell(p),Ray Brownl(b),Max Roach(ds)
F〜L50年1〜2月録音Bud Powell(p),Curly Russell(b),Max Roach(ds)
STRICTLY POWELL
1.There'll Never Be Another You
2.Coscrane
3.Over the Rainbow
4.Blues for Bassie
5.Time Was
6.Topsy Turvy
7.Lush Life
8.Elegy
9.They Didn't Believe Me
10.I Cover the Waterfront
11.Jump City
56年10月5日録音Bud Powell(p),George Duvivier(b),Art Taylor(ds)
SWINGIN' WITH BUD
1.Another Dozen
2.Like Someone in Love
3.Salts Peanuts
4.She
5.Swedish Pastry
6.Shawnuff
7.Oblivion
8.In the Blue of the Evening
9.Get It
10.Birdland Blues
11.Midway

57年2月11日録音Bud Powell(p),George Duvivier(b),Art Taylor(ds)

PLAYS HIS OWN COMPOSITION/ SOLO AND TRIO
このアルバムは、ジャズのCD紹介の本とかには載っていないんですけど、めっちゃんのお気に入りの曲がたくさん入っているので、よく聴きます。きっと、ベスト盤とかなのでしょうね。

あとは、その他のおすすめアルバムとして、
『the scene changes』をあげておきます。CMでよく流れる"クレオパトラの夢"という曲が入っています。この曲は日本人に好まれそうなメロディで、この曲がバド・パウエルを聴くきっかけになったという人も多いようです。




                      
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